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耽溺⑤

「瀬谷のバカ」 邪魔しやがって…っ、あと運動音痴は聞き捨てならない。今度、お菓子持ってきてもお預けだ。 「え、シノちゃんには言われたくない…」 憐れんだ目で瀬谷がそう言ってきたので、もっかい沈めてやろうか…と思ったがタカちゃんが「そこまでにしとけ」と困ったように叱ってくれたのでやめた。 タカちゃんに免じて許してやろう。ありがたく思えよな、ふんっ! アクシデントも一段落したので、湯田への謝罪をしに行こうと足を動かした、のだが。 …今にも噛みつかれそうな目つきでこちらを見ている湯田と目が合い、顔面蒼白になる。 目が合ったのに全然、嬉しくない…!! 俺は湯田から目を逸らすと、そっとタカちゃんの元へ戻った。やっぱりあとで謝るわ、矢沼…

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