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耽溺⑧

初恋が終わって、このまま誰も好きにならず生きていけたなら。 もう誰かにそんな想いを抱くつもりなんて。 こんな間違いだらけの感情なんて。 そんなもの、いらなかった。 「シノ」 「ん?」 「顔が死んでんぞ」 「…あー、ちょっと寒いから」 そう言って眠気に負けて瞳を閉じようとすれば、湯田に腕を引っ張られた。 立ち上がるのも億劫だったのに無理やり立ち上がらせられて湯田へと吸い込まれていく。 「冷たい」 湯田が小さく呟いた声を聞きながら俺は流されて、自分の席に座る湯田の膝に腰かけた。 ふわふわと。ぽかぽかと。 後ろにいる湯田へ背中を預けもたれかかると、すごく心が満たされていく感覚に陥る。 「湯田、あったかいな…」 「そう」 「きもちい」 「…そう」 身長差で俺の頭は湯田の首あたりに位置してるので、頭を猫のようにすりすりすると湯田の温かい首に頬が当たりとても気持ちがいい。 ーー…間違えては、いけない。

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