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遊戯⑤
ぐすぐすと涙が止まらない十葉くんに痺れを切らしたのか、湯田が矢沼に「あんまりいじめてやるなよ」と叱っていた。
矢沼はまだまだ乗り足りないって感じだったけど、十葉くんがギブアップ寸前だったので休憩することにした。
休憩スペースのベンチに座ると十葉くんは一歩も動けなくなり、そんな十葉くんから俺も離れられないでいる。
それに湯田は不機嫌ではあったけど、矢沼が自分と十葉くんの飲み物買ってくると言って遠くへ一人で行こうとしたので「矢沼を頼むな」とだけ告げた。
矢沼を一人になんてさせたら、どこの虫がつくか分かんないしな。
「ほんっと和希ったら男気がないというかヘタレというか~」
「…うるさい。だったら俺なんて誘うなよな!」
「……飲み物、なにがいい?」
「いらない」
…十葉くんと矢沼の空気が、ものすごく悪いんですけど。
十葉くんの返事にふいっとそっぽを向き自分の分を買いに行くため、どちらにしろ店があるところへ行ってしまう矢沼に渋々、湯田は同行していった。
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