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遊戯⑨
そこには飲み物を運ぶ矢沼とそれに付き添う湯田を囲むように女の子たちがざわつき行く手を阻んでいた。
なにかお誘いを受けているようだが湯田は何も言わないし腕を捕まれたり触られたりしても動じない。
なのに矢沼は、「ふふっ、え~どうしよっかなあ~」とはぐらかしている。
うわぁ…
「イケメン幼馴染カップルめ」
本人たちにはバレないよう冷たい視線を送っていた俺だったが、十葉くんがいること思い出して言ってしまった言葉をもう取り消せないのに手で口を塞ぐ。
バカか。
矢沼の恋人は十葉くんなのに…!
ちらりと十葉くんを見れば
諦めを含んだ乾いた笑いを二人へ向けていた。
「シノくんも思った?俺も思ったんだ、あぁ…"二人"はお似合いだなって」
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