男子校には湯田が行くと言って、それに矢沼もついていったんだとか。 もちろん、そのとき矢沼に「和希も行こう？」と誘われていたらしい。 それに一度は同意をしたのだけど、考えれば考えるほど苦しくなってしまったと十葉くんは俺へ吐露した。 「こんなに苦しくて醜い自分の心が嫌いになった。嫌いになったら、今度はこの汚いモノ全部消してしまいたいって願うようになった」 「…だから十葉くん別の高校にしたの？」 「好きな気持ちなくすためには離れるのが一番かなって思った。それに、」 俺がいなくなっても蓮には湯田がいるから、だから蓮なら大丈夫だと、そう判断した、と涙堪えて話す十葉くんを自分に重ねて泣きそうになった。 「矢沼は湯田を恋愛対象じゃないって言ってたよ」 「…それを信じんの、シノくん」 信じたいな。