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琴線④
「でも」っと湯田が俺の目をまっすぐ見つめて逸らさないから、俺も湯田を見つめ返してその言葉の先を待つ。
「そういうところも含めて、好きなんだと思う」
「……あは、ありがとうー俺も好き」
そうきたかと、からから笑う。
「…わかってる、意味?」
「わかってるよ。だから、俺も好き」
即答すると湯田から軽いな、お前…と言われた。うんうん失礼だな、タラシ湯田には及ばないからな。
それでも信用ならないようで、湯田は立ちあがり俺の肩を掴んで、さっきよりも至近距離で訴えかけてくる。
その反動で観覧車はがたりっと空中で乱暴に揺れた。
「シノの特別になりたいって言ってんだけど、俺は」
あぁ…そっか。
そっか…。
「湯田からそんな言葉が出てくるなんて、夢みたい」
夢なら覚めなければいいのに。
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