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琴線⑤

夢じゃない、本気で言ってるんだ、と伝えてくる湯田の手をゆっくり自分の肩から下ろした。 「好きだと"思う"だろ?もうちょっと考えた方がいいよ、湯田」 「…は?」 「あてられたんじゃないかな、俺と徹平先輩に」 そこまで言うと、湯田は下ろされた手で今度は俺の胸ぐらを掴んで俺を立ち上がらせる。 あぁ…殴られんのかな。 湯田もともとヤンキーらしいし。こんな生意気な態度の俺を今までビンタすらしてなかったのが不思議だったし。 無闇に避けて変なところ当たって痛い思いするくらいなら…痛くないように受け身で俺は待つよ。慣れてるし。 すっと瞳を閉じて、俺は痛みに備える。 だって、俺 この先の経験上、痛み以外感じたことない。 それなのに。 「………煽ったのはシノだから」 「…?…ん、んんっ、…ふ」 それなのに、どうして胸が焦げるように熱くなって、苦しいのに心地いいこの感情がこんなにも溢れているのだろう。

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