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琴線⑦

改めて言葉にしていくと、だんだんと羞恥心湧いてきて目を逸らしてしまったけど、湯田はそれを許してくれて捕まれた胸ぐらは緩み俺の隣へ座る。あぁ耳が熱い…目尻が熱い…胸が…熱い。 「湯田はさ、お……」 女の子のほうが好きだよな? 「なに」 …そんなこと、いちいち確認しなくたっていっか、女々しい。 「…お…俺のどこがいいん?」 見た目なら矢沼のほうが、間名くんのほうが可愛い。 性格が可愛いわけでもないし。 「シノは綺麗」 「綺麗、」 その意味は容姿のことではないと理解してる。 その言葉は涙が出るほど嬉しいそれだったはずなのに、それと同時に沈んでいく自分もいた。 じゃあ…この奥底にあるモノは、どうしたらいい? こんな真っ黒でドロドロのコレを"綺麗"だとは言わないだろう。 自分の左手を見つめて悶々と考えていたら、その手を大きな手が覆い隠す。…恋人繋ぎされた、…あったかい。 「シノが俺のどこが好きかなんて今はどうでもいい。俺がほしい言葉は」 恋人になるか、ならないか。 俺の左手そのまま口元へもってかれて手の甲にキスされる。 そんな湯田へこくりと頷き、瞳を見つめる。 「俺が湯田のいう綺麗じゃなくなっても、嫌いにならないなら、いいよ」 そんな未来のこと分かるはずもないのに。それなのに、じゃあ大丈夫だなって抱き締めてきた湯田に泣いてしまいそうだった。 抱き締められた状態なら…気づかれない絶対。気付かないで絶対。 これは遠回しに一生別れないで、と言ってるに等しい。 自分の無意識な束縛に、より泣きたくなった。

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