220 / 229
☆番(しおり200になったぞ記念)
「オメガバースってなに…?」
十葉くんと連絡とりあってたら、そんなワードが出てきて昼休み時の湯田と矢沼に急に話題をぶちこんだ。
「…知らね」と呟いた湯田の答えを聞き、一般的なワードではないのか?と首を傾げたが、矢沼は「あぁ~」と考え込むように答えに困っていた。
「僕も詳しく知らないんだけど男女のほかにも性があるって話、あるふぁ、おめがってのがあったはずだよ~」
「ふーん…」
「Ωだとね~男でも子ども産めるんだって」
えっ、痛そう…っていうのが第一印象。でもそれって男同士でも結婚なんかできちゃうわけで、夢のある世界なんだなぁ…と考えを改める。
でもαもΩも希少で、αは容姿端麗、運動神経もよく頭脳明晰らしい。Ωは他の男より華奢だったり女の子寄りな顔立ちだったりするんだとか。
…てことはさ。
「ここで例えると湯田はαで、矢沼がΩってわけだ?」
俺って賢いんじゃね。
と、意気揚々に言えばバシンッと頭を叩かれた、もちろん湯田に。いてて。
なんで叩かれなきゃいけないんだ、αなんて最高の誉め言葉じゃん…。
涙目で湯田を見つめると、「じゃあ、お前はなに?」と言われ
…俺って何なんだろう、と項垂れる。
この世界でも俺はだれ、ってなっちまうのに。
「平凡ってなに?」と尋ねれば矢沼から「βだね~」と返されたので、湯田に「β」と告げる。
え、自分で言っといてなんだけど、これってαとβなら結ばれないんじゃない?
はは、バッドエンドー。
しかもαとΩには運命の番なんてのがあるみたいで、自分の想いよりも強い絆で結ばれるっていう説明を矢沼に受け、βの俺は死んだ。
「…あは、オメガバース嫌だなぁ」
第3の性が混じることで叶わないものがさらに遠退いていく、俺に関しては。
「シノがβなら、俺もβがいい」
落ちてた俺へ、湯田がそんなこと言うものだからなんだか泣けてきた。β最高かよ。
「僕もΩは嫌だね~どちらかというと僕は孕まし、」
おっと、
「矢沼??」
今、矢沼の口から聞いてはならないようなこと飛び出して…
「…んっと、相手に身籠ってほしいからね~」
「あぁ、なるー」
飛び出してないか、勘違いだな、うん。みんなβでハッピーに暮らそうな。
「表現変えただけじゃねぇか」
湯田がぼそりと呟いたが気にしない。矢沼も「なんのことだか~」と笑ってるし、笑ってるならハッピーエンドだ。
「それにしても、どうしてシノはオメガバースって言葉を知ったのかな~?」
「それは十葉くんが…」
「うん、なんで和希とそんな話題になるのかな~?」
あ、やばい。
口走っちまった。でもこれは俺と十葉くんの秘密だからな。
「お口はミッフィーちゃん」
口元に指を添えてバッテン作って誤魔化す。
直接、十葉くんに聞けよな矢沼…♪
番外編おわり
ともだちにシェアしよう!