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高校④

俺に下の名前で呼べって言うくせに自分は俺のことシノって呼ぶんだよなー。 なんで?って聞いたら「可愛いから」って言われた。俺に可愛さを求めるのは違うと思う。 どうでもいい話をしながらわいわいしてると、ホームルームの時間になって先生がやってきた。 それなのに、俺の隣の席は空いている。…今日も遅刻か。まったく。 まぁ、バカな男子校だし不真面目なヤツは多いから隣の席のヤツがいなくたって特に目立たない。 けどなー ガラッ 教室のドアが勢いよく開いたかと思えば、そいつは大きなあくびをしながらだるそうに歩いてきた。 「おっ、今日は早いな湯田」 「…」 先生がその生徒へ声をかけると、ぺこっと頭を下げたそいつは俺のほうへやってきた。 「雅貴〜遅いよ!遅刻じゃん!!僕電話で起こしたでしょ!?」 「蓮、うるさい」 矢沼がぷんぷん怒ってるけど可愛いとしか思わない。そんな可愛い矢沼を見ても顔色ひとつ変えないのはきっと、湯田 雅貴(まさき)が矢沼の幼なじみだからなのだろう。 「湯田おはよー」 「…眠い」 いやいや!そこは、おはようだろうが湯田! 俺が挨拶すると少しこちらを見て隣の席に座り机に突っ伏した。

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