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餌付け②

ほっと安堵した俺を見て、「バカだなシノ」と湯田に呆れた感じに言われたが気にしない。 すると矢沼が湯田のパンの袋を開けて、俺のうしろにいる湯田の口にもっていく。 「もうっ、ほら食べなよ雅貴。あ〜ん」 なんだこれ、羨ましすぎだろ。 こんな可愛い矢沼にあーんしてもらえるとか、湯田は贅沢なヤツだ。 「羨ましすぎる、湯田…」 俺にあーんしてほしい。 それなのに矢沼を少しだけ見て、ふいっとそっぽを向く湯田にピリッとした空気を感じた。 「もうっ!!!なんで食べないんだよ!!もう知〜らない!!」 ぷんぷんと怒り出した矢沼はパンを机に置いた。 幼なじみだから、お互いに遠慮のない関係なのだろうけどこれはさすがに…湯田が悪い。 「こら、湯田」 振り向いて湯田を睨んだけど無視された。反抗期かよ。 さっき矢沼が置いたパンを手にとり俺が湯田の口へもっていく。 「ゆーた」 「…」 「…食べて?」 首を傾げてさっきよりも優しく言ってみる。 矢沼よりは絶対可愛くないけど、怒ってないよーてことを伝えたくて目を細めて微笑んでみせた。

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