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餌付け⑤
別れた時と何ら変わらない矢沼の姿にほっと息を吐いた。
「矢沼おかえりー呼び出しって告白?」
で、合ってるんだよな?
「ただいま〜シノ。そうだよ〜2コ上の先輩!名前も知らないから断ってきた」
「大丈夫?何もされてない?」
「平気平気〜この通りピンピンしてるよ♪」
心配してくれてありがとう、と俺を見上げニコッと花が咲くように笑う矢沼。
あぁーかわい。矢沼の周りに花が見える。
矢沼に告白をするヤツはたくさんいるだろう。でも俺にとって矢沼とお似合いなのは、湯田だと思うんだよなー幼なじみだし?信頼し合った仲だし?これ以上の適任者なんていなくね?
矢沼の笑顔に見惚れながらそんなことを考えていると、ぐわんっと視界が揺れた。
正確には、俺の後ろにいた湯田にガバッと抱きつかれ椅子に座る湯田の上へ座らせられた。
後ろからきたものだから、自分の体重が後ろへ傾いて転けるかと思ったぞ、おい。
「……ビックリさせんな湯田。あと離せ」
「話は終わったんだろ?蓮も無事に帰ってきたんだし、もういいかなって」
なにが良いんだよ。
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