37 / 229

相似⑭

ゴールした二人へ1番に駆け寄ったのは、矢沼だった。 「おつかれ〜タカちゃん、さっきよりタイム伸びたんじゃない?」 「…はぁっ、はぁ…そりゃ湯田追いかけるのに必死だったからな…はぁ…悔しいー」 そう言うと高城はタイムを紙に書きに行った。 そんな高城に俺も「速かったな、おつかれ」と声をかけて矢沼と湯田のほうへ向かった。 「それにしてもビックリしたよ〜?久しぶりに見たかも、雅貴が本気で走るところ〜かっこよかったよ〜」 「あっそ」 「うんうん〜♪なんで本気で走ったの?かっこつけたかったのかな〜それは誰に?誰にアピール〜?」 「うるさい黙れ」 にやにやと。矢沼が湯田へ抱きつきながら茶化してる。 それに対して矢沼をすごい形相で睨む湯田。 「おつかれ」 まさか湯田は陸上部だったのかな。…なーんて。 「見てたか?」 俺の声に気づき、さっきの走りを見ていたかと尋ねてくる湯田。 「見た見た」 「どうだった?」 どうって…、どうって…… 「湯田の走り方、嫌いだ」 何も考えず言葉を紡いだ。

ともだちにシェアしよう!