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面影②
――…似てたんだ。
湯田の走りが、先輩に。
腕の振り方とか足を運ぶ速さだとか……なんといっても前をまっすぐ見る眼差しが、中学のときに憧れてずっと見ていた頃のあの人と同じで。
すごく、すごく、苦しくなった。
「消えればいいのに」
こんな過去も、想いも、思い出も。
消えないというなら俺自身が消えてしまいたい。
「誰かいんのかー?」
ガサッと倉庫の扉のほうから声がして振り返るとサッカーの練習着を来た人が立っていた。
「…はい」
「サッカー部の新入部員?野球?…いや、お前ひょろそうだし、違うか。なんで、ここにいんの?」
「先生から掃除するよう言われて」
「あぁー…もしかして授業で居眠りでもしてたんじゃないか?」
いや、後頭部と顎がぶつかって……なんて、初対面でなんとなく言えず
「あ…そんな感じです」
と苦笑いを浮かべた。
なんか詳しそうだし、先輩なのだろうか。にこにこ笑いながら話してくれてるから緊張が解けていくのを感じた。
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