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面影⑤

背中とお尻が痛いけれど、頭守ってもらえてなかったら気絶してたかも。 だって床は木材ではなくてコンクリートだから。 下手したら皮膚が裂けて血が出るかも、なんて…そんなこと考えてゾッとした。 「痛い…重い」 後頭部を守ってもらった代償に先輩が俺に覆い被さっているけれど、許す。だって先輩は後頭部を守ってくれたヒーローだからな。 「大丈夫かよ…まったく、気を付けろよ」 「ありがとうございます…」 先輩、手ぇ怪我してないかな。 起き上がろうとしたけれど先輩が退くまで動けない。 …まぁ、いいや。 俺も背中や尻が痛いし。 諦めて握りしめてたホウキ手放して、退いてくれるのを待った。 「先輩、手ぇ平気です?」 「え、あーちょっと擦りむいた」 けど平気だ、と笑った先輩に俺も小さく笑った。 八重歯がある…… また思い出に浸ろうとしていた脳内を、先輩の瞳を見てなんとか抑制させる。 睫毛長い……湯田みたい。 なんか足と足の間に相手の足が入りこんでたり、腹を密着させてきたり……そんなことされてんなって気付いたときには、顔がものすごく近かった。

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