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休日⑥

「俺は大丈夫だよ。週に一度は告白されてるくらいには好かれてると思ってる」 嫌味か。 無意識に味噌汁を飲みながら睨み付けてしまった。 だが嫌味を織りまぜながらも、自分は大丈夫だとにかっと笑った観月に安堵する。 それなのに、「でも…」と続けた観月が目を逸らして俺に言いにくそうにしてるのを見てしまっては、卵焼きに伸びた箸が止まるのも仕方ない。 「“でも”なんだよ…」 「…」 「そこまで言っといて言わないっていうのはナシだかんな。観月の晩飯つくらないから」 ふんっ、鼻で息をすれば、やれやれ…と呆れる観月はゆっくりと話しだした。 「…教室に、来たんだよね」 「誰が」 「んー…名前は聞くの忘れた、というか巳継に言えばわかるって言われて…」 心臓がどくんと、重く鳴り響いた。 「“巳継と話したい、先輩命令だから”って」 俺の知る先輩なんて…一人しかいなかった。 わざわざ高等部から中等部の観月へそんなこと伝えにくるなんて… 目の前が…暗くなっていく、ような気がした。

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