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彼女③
これ以上、中学のことについて色々聞かれるのはやばいなって感じて隣の席を見てふと思い出す。
「というか…湯田は休み?」
「あ。そ〜なんだよ、聞いてよシノ〜〜!!!雅貴がね?雅貴がねぇええ!」
急に大声を出して俺達の間には机を隔ててあるというのに立ち上がってまで抱きついてくる矢沼の背中をぽんぽん撫でた。
「矢沼ー落ち着いて」
「落ち着いてらんないよっ!朝にいつものようにラブコールしたのに出てくれないんだよ!?メールも返してくれないし…」
うっうっと半泣きになって訴えてくる矢沼。矢沼をここまで悲しませるなんて、湯田も罪な男だ。
「今、試しに電話してみたら?」
「う、うん…」
一度俺から離れてスマホをポケットから取り出すと矢沼は湯田へ電話をかけた。
ぷるるるる、と音が数度くり返されたあと「もしもし〜雅貴?」と矢沼が言っているので相手は電話に出たのだろう。
けれど、すぐにスマホを耳から離して矢沼は俺を見た。
「…切られた」
あーもう、湯田め。
「…矢沼スマホ貸して?俺も起こすの手伝う」
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