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第5話

 青たん痛子さんによれば、趣味ビッチ受にもいろんな種類があるようだ。僕は片岡さんに浮気性設定で挑んでしまったために、それに矛盾しない属性を選ばざるを得ない。  従って、「童貞のお前を俺が育ててやるビッチ受」だとか、「べ、別にあんたなんか棒だとしか思ってないんだから!ビッチ受」だとかは候補からは外した。  はあ……「特定の相手とのセックスが大好きな淫乱ビッチ受」が一番陥りやすく、かつ安全に楽しめるって青たん痛子さんもお勧めなのに……僕の行き当たりばったりがこんなところで足枷になるとは。  ちなみに、浮気性ビッチ受の代表格が、「女王様ビッチ受」らしい。女王様気取りで相手や周りの都合なんてお構いなしで、自分の要求は通ると信じて疑わない、不遜で身勝手な、だけどそれが許されるビッチ受。  これは、女王様然としていられる性格と、周りからも女王様として扱われる容姿その他が大前提にある。あいにく僕はそうではない。そもそも、女王様というからには信奉者が複数いないことには成り立たない。だからこそ、自分の気に入った男を次々にベッドに連れ込む浮気性属性なわけだし。  まあ、青たん痛子さんの解説には、まれに一人の相手に対してだけ女王様ぶりを発揮するビッチ受もいるって書いてあったけど、それじゃあ浮気性にならないからやっぱりダメだ。  青たん痛子さんのサイトはどのページもわかりやすく、シンプルで読みやすい。今表示されている【趣味ビッチ受 分類と分布】のページには、長方形を十字で四等分したチャートがあって、縦軸を上に行くほど浮気性、横軸を右に行くほど難易度が高いとされている。  件の「女王様ビッチ受」は、チャートの右上に位置する。すごく浮気性で難易度が高いわけだ。そのエリアには他に、「無差別ビッチ受」や「ハイスキルビッチ受」などがある。一つ一つに丁寧な解説があるので、理解はできるけれど僕にはなれそうにもない。  浮気性だけは譲れない僕は、そのまま視線を左へスライドし、難易度の低い浮気性ビッチ受を探す。本当は左下の、難易度が低くて浮気性でもない、「週末ビッチ受」とか、「なりきりビッチ受」とかがいいんだけど……。  チャートの左上のエリアには、単純明快なその名も「浮気性ビッチ受」なるものが表示されている。  これだ。もう、これしかない。僕はこれを目指す……!!  早速その解説を読むと、つまりは自分の欲望赴くままに、フラフラ浮気するビッチ受ということのようだ。 ■ 浮気性ビッチ受は奥が深く、また、様々な他の属性を内包していると言えます。 まずは「誰でもいい派」です。 彼らは趣味ビッチ受の中では多数派で、よほどの難がない限り、自身の欲求を満たす相手に頓着しない、手当たり次第の行動を是とします。 この中には無自覚な真正ビッチ受の人々が含まれていることも多くあります。 次に多いのは「新しいのが好きなんだ派」です。 「いい男は味見しないと気が済まない類」というつまみ食いタイプと、 「何事もやってみなくちゃわからない類」という雑食タイプとに分かれます。 彼らは総じて、目をつけた相手を籠絡し、自分の思う通りの性交とそれに付随する快感を貪ることで達成感を得る、いわばゲーマー気質を備えます。 浮気性ビッチ受としては、非常に明快かつ潔い、これぞ浮気性ビッチ受のモデルケースとも言えるような一派です。 その一方で彼らは、自分の思い通りにならない相手に執着する傾向が強く、その相手如何ではこの属性から離脱しやすい性質も併せ持ちます。(姉妹サイト「攻のたしなみ」内の【受を優しく操る方法】参照) その他に少数派ではありますが「攻の気を惹きたくて派」が存在します。 彼らもおよそ 「攻に愛されてるか不安なんだもん類」という愛情確認型と、 「怒った攻とのエッチがたまんない類」という興奮材料自己生産型の二つに分けられます。 管理人個人の意見として、後者の興奮材料自己生産型が浮気性ビッチ受のベストタイプだと考えます。 他にも、経済的援助を得るために悪びれずに浮気する「サポ希望派」(職業ビッチに類する)や、忙しい攻との空白を埋めるべく他所で発散する「だってしょうがないじゃない派」なども存在します。 一人一様ではなく、複数の派閥に属するビッチ受もありますが、 多数の攻の間を好きに泳ぐという性質があれば、この「浮気性ビッチ受」属性であると言えるでしょう。 ■  僕は土日を費やして、「ビッチ受のススメ」を読み込んだ。僕は昔から書いて覚える勉強法を採ってきたので、要点を手帳に書き留めることも忘れない。  【おすすめサイト様】というページに列挙されていたリンク先にも全部飛んだ。そこから更に先にも行って、貪欲に情報を集めて回る。  そして、おぼろげながら、僕は自分がなれそうなビッチ受像というものを掴んだ気がする。  片岡さんは、お仕置きだなと嬉しそうに言っていた。  だからつまり、多分だけど、片岡さんの好きなのは「攻の気を惹きたくて派」のどちらかだろう。  受、つまり僕に疑われて試されるのを許してくれるか、怒ることをわざとやって煽るのを許してくれるか……だ。判断を誤れば、片岡さんはお仕置きどころか僕を放置して離れてしまうだろう。 ここは腕の見せ所だ。

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