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第4話
翌朝。
灯真は朝食に現れなかった。昼食にも現れなかった。
長瀬医師に尋ねると、雫に噛まれた傷が化膿して、高熱をだしていると言った。
「とても体が弱いんだ。傷を作らないようにとあれほど言ったのに。」
自分が悪いとは、頭では思わなかったけれど、なぜか息苦しくて心が落ち着かなかった。
結局主はそれから3日間、寝込む事になった。
4日目の朝、粥を届けるように言われて、おそるおそる部屋を訪れた。
灯真はベッドで半身を起こして、こちらを向いていた。
一瞬見えているのかと思ったが「雫か。」と問う眼差しは誰もいない空間に向けられていた。
「はい」と応える。
「お前の毒で死にかけた。」冷たい声。
毒だなんて。雫が俯いて黙っていると、
「死ねればよかったのに。」と顔を背けてつぶやいた。
「お粥を、お持ちしました。」
そばに近づいて言うと、「食べたくない。」とやつれの見える頬をみせて言う。
「でも、召し上がらないと。」
「じゃあ、食べさせてみろ。」挑発するようにいう。
スプーンにすくって、吹いてさました。
そっと口に持って行ったが、案の定食べようとしない。
少し迷ってから、雫は自分の口に粥を含むと、灯真の唇にそれを重ねてみた。
突き飛ばされるかと思ったが、反抗の兆しはない。
すこし舌で内容物を押し出してみると、微かに口を開いて受け入れたようだった。
うまく送り込めなくて、あらかたこぼしてしまったが、灯真の喉が粥を飲み込む音を雫は聞いた。
「また毒入りですけど。」そういうと、灯真はつまらなそうに鼻をならした。
「お前の毒にはもう免疫が出来た。」
雫はベッドに腰をかけると、また粥をすくった。
灯真がもういいというまで、口移しで粥を運んだ。
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