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「ん………、んん…?」 「あ、起きた。」 目を開けると、目の前に先輩がいた。 俺が大好きないつもの先輩。 「ふにゃぁっ?!!」 「ある。」 股間を握ると、ちゃんとモノも付いていた。 正真正銘、男の綾人さん。 「な、何すんだよ!!」 「戻ったんだ。」 「何が?」 「男に。」 「は?俺は元から男だわ。全く…。なんか変な夢でも見てたんじゃねーの?」 先輩は突然チンコを握られたことに動揺しながら、俺から距離を取る。 俺は後ろから先輩を抱きしめて、首筋に顔を埋めた。 「やっぱこのままの先輩がいいや。」 「城崎、何の夢見てたんだ?」 「先輩が女の子になっちゃう夢。」 「はぁ?!」 「先輩にいっぱい中出ししちゃった。生まれるかなぁ?」 「ゆ、夢の話だろ!!」 先輩の下腹部をいやらしく(さす)ると、先輩は慌てて俺の腕の中から逃げ出そうと抵抗する。 逃すわけないのになぁ。 逃げられないことを悟った先輩は、しばらくしておとなしくなり、不安そうな顔で俺に尋ねた。 「ちなみに…、女の俺、どんなだった…?」 「黒髪ロングの巨乳美人。」 「は?!絶対そっちの方がいいじゃん!」 「俺はこっちがいい。」 男らしい硬い体も、低い声も、短い髪も。 先輩の全てが俺の心を掴んで離さない。 先輩は俺の袖口を摘んで、小さい声で呟いた。 「女に目覚めちゃダメだからな…。」 「〜〜〜っ!!!」 先輩の可愛さが大暴走して、俺は堪らなくてそのままベッドに押し倒した。 顔を逸らしてツンツンした態度をとって、でもまだ癖に気づいていない先輩は無意識に唇を触っていた。 チュッと数回キスすると、驚いたように俺を見た。 「んっ!な、何すんだよ!」 「今、キスしたかったでしょ?」 「?!う、うるさぃっ…///」 夢の中では教えてあげたけど、現実ではまだ内緒にしておこう。 先輩のことだから、教えたら恥ずかしがってしなくなるかもしれないし。 こんな可愛い先輩、見られなくなるなんて勿体無いや。 「先輩、大好きです♡」 「ば、バカ…。」 「先輩は??」 「………好き……だよ……。」 「は〜〜〜〜〜。めちゃくちゃ気持ち良くなろうね、先輩っ!」 照れて真っ赤になった先輩を、俺は満足するまで抱き続けた。 どこかで俺と先輩に似た超美男子の赤ちゃんが誕生したのは、また別のお話……。 fin.

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