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SS3-4

もう我慢できない。 こんな可愛い恋人を見て我慢できる奴がいるなら教えてほしい。 「先輩」 意識して甘い声を放つ。 先輩はビクッと体を揺らして、俺に視線を移した。 「シよ?」 「……っ」 わざと耳元で囁く。 先輩は耳弱いから甘噛みしてみたり。 そうすると体をビクつかせながら、上目遣いに俺を見る。 かーわいい。 「駄目?」 耳の中に舌を入れると、先輩はギュッと目を閉じた。 先輩、ごめんね。 俺、先輩が"Yes"しか言えないように誘導してる悪い恋人なんだよ。 顔を真っ赤にして、目を潤ませて、(たかぶ)った先輩には俺が必要でしょ? 「い…いよ……」 自らトランクスを下ろして、一糸(まと)わぬ姿となる先輩。 30歳の男がこんなに綺麗で可愛いだなんて、ゲイ仲間に言ってもなかなか信じてもらえなさそう。 俺が(つる)んでた奴ら、可愛い年下好きが多かったしな。 ヘッドボードに置いていたローションを手に垂らし、先輩の背に重なる。 下は手を伸ばし、三本の指で先輩のナカを(ほぐ)しながら、選択肢を与えた。 「先輩、優しくしてほしい?……それとも、とびっきり激しくしてほしい…?」 「……っ」 後者を少し強めに言う。 だって俺、今優しくできる気がしないから。 「は……、城崎の好きな方で、……いいよ。」 あ、今激しくって言おうとしたのにやめたな。 俺が激しくしたいって分かってるから、選択権を俺に委ねてきた。 でもね、先輩。 俺、そんな優しくないよ? こうなったら言わせたくなるでしょ。 期待した顔で、早くしてと言わんばかりに俺を見つめる。 「じゃあ、優しくするね?」 「…っ」 「ん?不満?」 「い、意地悪っ…。」 そんな顔しちゃ逆効果なのに。 本当、どこまで俺を振り回せば気が済むんだろう? 早く先輩に言わせて、繋がりたい。 「先輩、本当はどうしてほしい?」 「…………っ」 「優しくで、いい?」 まぁここまで詰めても優しくでいいと言うなら、俺もとびっきり甘く優しく抱いてあげるつもりだったけど。 やっぱり先輩は正直者で。 「……激しく……シて………」 顔を背けて耳を真っ赤にしながら、蚊の鳴くような小さな声でそう言った。

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