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呆然と立ち尽くしていると、城崎は欠伸で目に溜まった涙を擦りながら、準備室から出て行こうとした。
「ま、待って……!」
「あ?」
城崎は面倒臭そうに俺を振り返る。
そっか…。
この夢の中では、俺と城崎は恋人じゃないのか…。
「い、いつもこんなことしてるの…?」
「何?説教?」
「えっと………」
「あ、それとも相手してほしいの?」
前髪をかき上げられて、城崎の顔が近付く。
あ、格好良い…。
この頃から完成された顔してるんだな……。
って、それどころじゃないってば!
「センセー、意外と可愛い顔してんね。」
「えっ…?」
「俺、センセーなら勃つかも。」
「ちょ…っ、え?!」
「さっき俺イッてないんだよね。何でだと思う?」
「………」
「センセーが邪魔したからだよ。だから、代わりにセンセーが俺の相手してくれる?」
な、な、なな、何……?!
強引っ…!!
全然紳士じゃない!!
城崎は扉を閉め、カチャン…と鍵を掛けた。
しゅるしゅるとネクタイを解かれ、机に押し倒される。
「し、城崎…っ!」
「大丈夫、鍵閉めたし。ここの鍵持ってるのセンセーでしょ?」
「はっ…!」
た、たしかに…。
俺が鍵持ってるから、他の人は入れないか。
「え、でも待って。城崎、入ってたじゃん!」
「開いてたから。」
「えっ?!」
「センセー開けっ放しにしてたの、見てたんだよね。」
俺のバカーッ!鍵くらいちゃんと掛けろよ!!
おかげでヤリ部屋になってんじゃん…!!
でも鍵かけてない時の記憶ないから、それは俺が夢の世界に来る前の教師の俺……って何言ってんだ!?
「センセーなに百面相してんの?可愛いけど。」
「はっ…!?」
「無抵抗だし、もしかして満更でもないんじゃないの?」
そりゃ俺たち恋人だからな?!
で、でも生徒とヤるのは良くない?……良くないよなぁ。
ここで更生させたら、夢から覚めたときに城崎が別人になってたりしない?
俺、今の城崎が好きなんだけど…。
「センセー可愛い。俄然やる気出てきたわ。」
「ぉわっ?!」
「色気ない声出さないで。」
「すみません…っ」
「ぷっ。なんで敬語なんだよ(笑)」
わーーー。最近聞いたーーー。
改めて、葉月くんは城崎の弟だということがよく分かった。
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