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それから城崎は毎日のように俺の家に入り浸るようになり、平日休日問わず、俺たちは毎日愛し合った。
あれ以降、授業中にイタズラを仕掛けてくることはなくなったけど、週に一回は準備室で逢瀬 を重ねた。
夏は着替えまで持参して、エアコンも効かない準備室で汗だくになりながら求め合った。
夢のはずなのに終わらないし、もしかしたらこのままずっと城崎と新しい関係で続いていくのかな、なんて考える。
それでもいいと思うほど、俺は夢の中の城崎に惚れていた。
城崎と関係を持ち始め、数ヶ月後のことだった。
もう秋口。
少しだけ夜風が冷たくなり始めた頃だ。
「望月先生、ちょっと校長室に来てくれるかな。」
「え?あ、はい。」
古典の授業を終え、次は空きコマ。
いつものように城崎に会いにいこうとしていた最中、校長に呼び止められた。
校長室に呼び出される理由として思い当たるのは、勿論あのことだけだ。
でも今更…。
今までバレていなかったし、最近何か目立つことをしたわけでもない。
恐る恐る校長室に入り、扉を閉める。
校長は俺をソファに座らせ、話を切り出した。
「単刀直入に聞こう。………生徒と、性的な関係を持っているかい?」
「………っ」
「ある生徒からタレコミがあってね……。その……、君と生徒が国語準備室に入っていくのを…ね……。」
「そ、それは……」
「いや、もちろん君を信じたいんだ。準備室に生徒を連れ込むことくらい、全然起こり得ることだと思う。授業の準備を手伝ってもらったとか、テストの補習をしていたとか、理由は何でも、あると思うんだ……。」
校長は言葉を選びながら、ゆっくりと口にする。
見られてたんだ…、誰かに。
どこまで…?
鍵はしてたから…、入るところまで……?
「でもね……、なかなか出てこないから、不思議に思って中庭から覗いたそうなんだ…。そしたら…、君が生徒と、性行為をしているのをね、見たと言うんだ……。」
「…………」
「これが本当なら、君にはこの学校を辞めてもらうしかない。」
「それは…、その……」
「嘘だと思いたいよ。ただの嫉妬や妬みだと。」
「あの……、俺………っ」
「その様子だと、事実みたいだね……。」
「っ…。」
俺は「違います。」「見間違いです。」と、その言葉すら口にすることはできなかった。
俺が否定しないと、城崎にも迷惑がかかるのに。
でも、嘘でも城崎との関係を俺の口から否定したくなかった。
城崎と築いた愛を、なかったことにはできなかった。
「相手は、君のクラスの城崎夏月くん…、で合っているかな?」
「………はい。」
「城崎くんの両親にも謝罪に行こう。」
「………はい。」
「こちらからの対応としては、君の懲戒免職。あと、今後一切君と城崎くんの接触は控えること。」
「…………っ。」
もう城崎と会えない…?
そんなの……、無理だ。
俺が免職になるのは仕方がない。
それは覚悟していたことだから。
でも、俺城崎にまだ何も……。
「今すぐにでも行こう。彼の両親が訴えでもしたら、免職どころじゃ済まないぞ。」
「…………はい。」
俺は校長と一緒に、城崎の家に向かった。
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