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インターホンを鳴らす。
しばらくして家の中から現れたのは、城崎に似た美人な女性だった。
「あら。校長先生。それに、担任の望月先生?」
「こんにちは。突然すみません。」
校長に続いて、俺も頭を下げた。
城崎の母親は俺と校長を家の中へ上げ、リビングへ通した。
「うちの息子が何かご迷惑をおかけしましたか…?」
心配そうに尋ねる母親。
そうだよな…。突然校長と担任が来たら…、心配するよな……。
「いえ。今回は謝罪したいことがあり、お伺いしました。」
「え…?」
「ほら、望月くん。」
背を叩かれ、震える声で話す。
「私……、その……、城崎さんの息子様と……、体の関係を………持っていました………。」
「え?」
「すみません…っ。でも…、でも…俺、本気で…!本気で城崎のこと……っ!」
「あのっ…、ど、どういうことですかっ?!」
床に額を付け土下座をする俺に、城崎の母親は困惑して立ち上がる。
ちょうどその時、ガチャン…とリビングの扉が開いた。
「え……。綾センセー……?」
「し、城崎……っ」
「夏月!どういうこと?!担任の先生と体の関係って…?!何なの?説明して!」
「何?どうして綾センセーが土下座してんの?」
「城崎くん、望月先生は……「どいて。」
城崎は校長も母親も無視して、一直線に俺の元へ来て膝をついた。
「センセー、顔上げて?」
「…………」
「何で謝ってるの?俺とセンセー、悪いことした?」
「………俺は教師で、城崎は生徒…だから……」
「でも綾センセーと俺は恋人だよね?何も悪いことしてない。そうでしょ?」
城崎は不思議そうに俺に尋ねる。
確認するようにも聞こえるその言葉に、俺は「そうだよ。おかしくないよ。」と、そう答えたかった。
「夏月!!」
「何だよ?!綾センセーに土下座させてんじゃねぇよ!」
「あんた何馬鹿なこと言ってんの?!教師と、か…体の関係を持ってたなんて!」
「恋人とセックスして何が悪いんだよ?」
「いい加減にしなさい!」
ぱしんっ…と肌を叩く音がリビングに響いた。
城崎の母親が、城崎をビンタしたのだ。
俺は慌てて城崎の元へ駆け寄る。
「……んでだよ。何で俺とセンセーは駄目なんだよ!?俺が生徒だからか?そんなんだったら、学校なんて辞めてやる!!」
「城崎…っ」
「俺、センセーと一緒に居たいもん。教師と生徒が駄目なんだったら、俺が学校辞めれば…」
「城崎は学校辞めちゃ駄目…。俺が…、俺が教師辞めるから……。」
「はぁっ?!」
「今日で懲戒免職になった…から……。城崎は学校続けて…?」
「やだよ。センセーと一緒に居る。綾センセーの居ない学校なんて行く意味ない!」
「お願い…。城崎、お母さんのこと、悲しませないで…。」
城崎は俺と、後ろで泣いている母親を交互に見て、グッと唇を噛み締めた。
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