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5-2
先生はテクニシャンなのか…?
あっという間にイカされ、気持ち良くなってしまった。
先生はドロドロになった手をハンカチで拭き、椅子に座った。
「本当にお忙しかったんですね。随分溜まってたみたいだ。」
「…………」
俺はベッドに横になったまま、呼吸を整えてボーッと先生を見つめる。
「ふふ。びっくりして腹痛も治りましたか?」
「や…、あの……、はい……。」
「軽い腸炎だと思うので、薬出しておきますね。」
「は…、はい……。」
「1日3回、食事を抜いたとしても薬は飲んでくださいね。」
「分かりました……。」
「一週間後に予約入れておきますから、治っていたとしてもまた受診してください。」
先生は俺の背中を支えて起き上がらせる。
どぎまぎしながら俺は靴を履いた。
な、何だったんだ…?
普通、患者のちんこ扱くか…?
生理現象だって軽く流してたけど、普段からそういうことしてるのか…?
女性に対しても?枕営業ってこと…?
診察室を後にしようとすると、トントンと肩を叩かれ、耳元で囁かれる。
「可愛かったです、とても。」
「あの……」
「ちなみにこんなことするのは初めてです。」
「え…?」
「望月さんだけ、特別です。」
「?!?!!し、失礼しますっ!!」
頭の中が疑問符でいっぱいになったが、俺は慌てて診察室を出て服を整えた。
処方箋をもらって、料金を支払い、クリニックを出る。
なんなんだ、あの医者!?
いやらしい手つきで俺のこと触って、澄ました顔で俺のちんこ扱いて…。
おまけに…、か…可愛かったとか…。
意味わかんねぇし……。
二度と受診しねぇ。こんなセクハラクリニック。
レビューでボロクソに書いてやる。
ここはクリニックじゃなくて、枕営業のヤブ医者だって。
とは思いつつ、真面目な俺はきちんと先生に言われた通り朝昼夕に毎日処方された薬を飲み、健康的な生活を送った。
そして忘れ去りたいくらい恥ずかしい経験だったはずなのに、俺は何故か先生を想像して数回抜いた。
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