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「望月さん♡」 「………」 「大好きです♡」 「あっそ。」 お互い裸でベッドに横になり、毎日のように愛を囁かれる。 一緒に暮らすようになって早数ヶ月。 俺はとうとう先生、城崎夏月との交際を認めることにした。 認めたくはないけど、こいつの顔は好き。 声も、料理も、趣味も、全部好き。 女性患者に言い寄られていたら腹が立つし、そんな現場を見た日の俺の機嫌はすこぶる悪い。 それに気づいた城崎は、診療日は甘く熱く俺を愛する。 思えば、多分城崎の言う通り最初から恋だったんだ。 「ちなみにね〜、今だから言うんですけど。」 「何…?」 「心エコーのとき、検査用ゼリーじゃなくて、媚薬入りのローションゼリー塗ったんですよね〜。」 「は…?」 「望月さん、すっごく感じてて、恥ずかしそうで可愛かったなぁ〜。」 「はぁ?!!」 あのクッソ恥ずかしい思いしたのは、俺が変に意識したとか、俺の体が敏感だったとか、そうじゃなくて必然だったってことか? は?……は?マジで意味わかんねぇ。 「望月さんのこと初診の時から狙ってたから。試してみるもんですね?♡」 「………嫌い。」 「え?」 「このヤブ医者!お前なんて嫌いだぁー!!」 前言撤回。 俺はとんでもない男に捕まったのかもしれない。 「望月さん〜!?嫌いなんて言わないで!」 「今すぐそこで土下座しろ!」 「したら許してくれるんですか?」 「許すわけねぇだろが!!」 「それじゃあ土下座し損じゃないですかぁ〜!」 またいつもみたいに痴話喧嘩。 いつか逃げてやる。 でもきっと、こいつは一生俺のことを離してくれないんだろうな。 あーあ……。 まぁ、でもこういう人生も悪くないのかもしれないな。 城崎が諦めつくまで、こうして言い合いしてやるか。 「キスしてくれたら許す。」 「えっ?!」 「俺のことキスだけでイカせれたらな。」 「任せてくださいっ♡♡♡」 俺もまんざらでもないんだよな。 いつまでもこいつと一緒に。 何となく心の中でそう思った。

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