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冷静になれ。 冷静になるんだ、城崎夏月。 推しに怖い思いさせてどうすんだ。 本当にこれはファンとして正しい行いなのか? 否、これはファンとしてあるまじき行為……。 「綾くん、やっぱり…」 「挿れないの…?」 「挿れます!!!」 俺のバカっ!! 欲望に忠実すぎて泣けてきた。 神様、そして全国のファンの皆様、ごめんなさい。 俺は今から、みんなの望月綾人様を俺のものにします…。 「綾くん、深呼吸してね…。」 「んっ…」 嗚呼……。 これが天国…? 今までに感じたことない幸福感と、満足感。 温かい。気持ちいい。 綾くんと俺、繋がってる…。 「ひっ…、んっ、ん♡あっ、ん…」 喘ぎ声、可愛すぎるんですけど。 腰を振ると、綾くんの口からえっちな声が溢れてくる。 ヤバい……。あ。これ、ヤバいわ。 「城崎くんっ…、ぁ…、チュー…して…っ」 「〜〜〜っ!!」 可愛すぎるだろ…!!! 泣きそうな顔で俺にキスを求めてくる綾くんが愛おしくて、抱きしめてたくさんキスする。 綾くんの額にはたくさん玉の汗が噴き出していて、きっと無理して受け入れてくれているんだなって思う。 でも俺みたいな男を受け入れてくれてるこの現実が、俺を無性に昂らせた。 「綾くん、ごめんね。好き。大好き…っ。」 「っぁ、城崎くん…っ」 「お願い。俺のこと好きになって…。」 無理だって分かってる。 分かってるから、今この瞬間だけでも、「好き」だと嘘を吐いてほしい。 求めるように一際大きく腰を動かすと、綾くんはブルルッと身体を揺らし、射精した。 「城崎くん……、好き…だよ……」 「え……?」 「好きじゃないと、こんなことさせないし…。」 「え?え…?」 「こんな俺のこと、ずっと追いかけ続けてくれてる城崎くんが好きだよ。」 「夢……?」 「夢じゃないよ。城崎くん、大好き。」 嘘……? 本当に?夢じゃない? グイーッと自分の頬を引っ張ると、痛くなかった。 痛く……なかった………。 「夢じゃねえか!!!!」 夢とわかった瞬間、目の前にいた綾くんは消えた。

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