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夢の中の俺は慣れていたんだろうな。
俺は今この世界に来たばかりだから、先輩を守り切れる自信があるとは言えない。
だから戻りたいんだけど…。
「うわぁ!?城崎〜っ!!」
「先輩、俺から離れないで。」
「うんっ…!!」
先輩が俺に助けを求めて引っ付いてくる。
悪くないな…。
涙目で可愛くて、心の底から怯えてる先輩なんて滅多に見れない。
社員旅行で丑三つ時に温泉行った以来かもしれないな…。
「先輩、回復できる?」
「わかった!待ってな…」
先輩に回復してもらうと、感じたことのない気持ち良さに包まれる。
これがヒール…。
夢だし……、俺の思うようになるか…?
先輩のこと、守れるよな…?
道中の敵は一発で倒せる奴が多く、先輩にさえ攻撃が当たらなければ余裕だし…。
「城崎、やっぱ強いね!」
俺のこと尊敬の目で見る可愛い先輩が見れるし…。
このまま進むか。
「ところで先輩、ここのダンジョンのボスの情報ってないんですか?」
「ん〜、あるにはあるよ?」
「知ってるなら先に教えてくださいよ。」
「そんなこと言うなら教えないぞ!」
「すみません。先輩、教えてください。」
「ふふっ、教えてあげる〜」
可愛い…。
この世界の俺が先輩にお願いすることは稀なのか、先輩は嬉しそうに腕を組んで話し始めた。
「他の挑戦者に聞いた話だと、ボスは麻痺攻撃を使ってくるんだって!」
「麻痺?」
「うん。これに関しては、俺が麻痺治しの魔法が使えるから大丈夫!ちゃんとこのクエストのために習得したんだよ!」
ドヤ顔で話す先輩、クソ可愛いな…。
いっぱい練習したのかな…。
「あとね、形が変わる?って言ってた。」
「形?」
「よくわからないんだけど、大きいわけじゃなくて、サイズが変わるらしい。だから攻撃を当てるのがちょっと難しいんだって!」
「へぇ〜。」
回避率が高いってことか?
結構厄介だな…。
でもたしか俺の技ウィンドウに、攻撃を確実に当てるためのスキルがあった気がする。
ボス戦前にちゃんと読んでおこう。
「あと次が最後!ここのボスは最奥じゃなくて、道中の何もないところに突然出てくるんだって〜。」
「…!!先輩、逃げて!!!」
「うわぁあっ?!」
「先輩!!!」
先輩の下から紫色のムニュムニュしたスライムみたいなのが現れ、先輩の四肢に絡まって上へと伸びていった。
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