84 / 128

7-2

夢の中の俺は慣れていたんだろうな。 俺は今この世界に来たばかりだから、先輩を守り切れる自信があるとは言えない。 だから戻りたいんだけど…。 「うわぁ!?城崎〜っ!!」 「先輩、俺から離れないで。」 「うんっ…!!」 先輩が俺に助けを求めて引っ付いてくる。 悪くないな…。 涙目で可愛くて、心の底から怯えてる先輩なんて滅多に見れない。 社員旅行で丑三つ時に温泉行った以来かもしれないな…。 「先輩、回復できる?」 「わかった!待ってな…」 先輩に回復してもらうと、感じたことのない気持ち良さに包まれる。 これがヒール…。 夢だし……、俺の思うようになるか…? 先輩のこと、守れるよな…? 道中の敵は一発で倒せる奴が多く、先輩にさえ攻撃が当たらなければ余裕だし…。 「城崎、やっぱ強いね!」 俺のこと尊敬の目で見る可愛い先輩が見れるし…。 このまま進むか。 「ところで先輩、ここのダンジョンのボスの情報ってないんですか?」 「ん〜、あるにはあるよ?」 「知ってるなら先に教えてくださいよ。」 「そんなこと言うなら教えないぞ!」 「すみません。先輩、教えてください。」 「ふふっ、教えてあげる〜」 可愛い…。 この世界の俺が先輩にお願いすることは稀なのか、先輩は嬉しそうに腕を組んで話し始めた。 「他の挑戦者に聞いた話だと、ボスは麻痺攻撃を使ってくるんだって!」 「麻痺?」 「うん。これに関しては、俺が麻痺治しの魔法が使えるから大丈夫!ちゃんとこのクエストのために習得したんだよ!」 ドヤ顔で話す先輩、クソ可愛いな…。 いっぱい練習したのかな…。 「あとね、形が変わる?って言ってた。」 「形?」 「よくわからないんだけど、大きいわけじゃなくて、サイズが変わるらしい。だから攻撃を当てるのがちょっと難しいんだって!」 「へぇ〜。」 回避率が高いってことか? 結構厄介だな…。 でもたしか俺の技ウィンドウに、攻撃を確実に当てるためのスキルがあった気がする。 ボス戦前にちゃんと読んでおこう。 「あと次が最後!ここのボスは最奥じゃなくて、道中の何もないところに突然出てくるんだって〜。」 「…!!先輩、逃げて!!!」 「うわぁあっ?!」 「先輩!!!」 先輩の下から紫色のムニュムニュしたスライムみたいなのが現れ、先輩の四肢に絡まって上へと伸びていった。

ともだちにシェアしよう!