94 / 128
SS6-1
1月末に涼真とちゅんちゅんが城崎と綾人の家に遊びに来た時の、描かれていなかった一場面。
某レーシングゲームで遊んでました。
お馴染み"先輩視点"でお送りします。
***
「次はこのゲームしましょう!」
ボードゲームが終わり、ちゅんちゅんが次に取り出したのは据え置き型のテレビゲーム。
涼真は興味ありそうな顔をしているけど、城崎はつまらなさそうな顔をしてる。
「コントローラー足りるの?」
「はい!ちゃんと4人分持ってきましたよ!」
「へぇ〜…。俺、やったことない…。」
コントローラー触るのも初めてレベル。
大翔もゲームに興味を示さないから、小さい頃からテレビゲームには縁がなかった。
涼真も持ってないしなぁ。
「俺もー。気になるけど持ってないんだよなぁ。楽しかったら買おうかな。」
「是非!!」
涼真はいの一番にコントローラーを握った。
こいつ、絶対買うだろうな…。
俺もコントローラーを手に取り、一つを城崎に渡す。
「はい。」
「………。先輩、やりたいの?」
「え?まぁやるならみんなでやったほうが楽しいだろ。」
「ふーん…。」
何でこんなにテンション低いんだ…?
あ、もしかして…。
「城崎、こういうの苦手?」
「いや、そういうわけでは…」
「え!城崎さんにも苦手なことあるんすか!よっしゃー!城崎さんのこと初めて負かすぞ〜!!」
俺と城崎の会話を聞いて、ちゅんちゅんが盛り上がり始めた。
自分が得意で相手が苦手な競技で競おうとするなんて、意地汚いなコイツ。
それにしても、城崎にも苦手なことがあるなんてなぁ。
何でもそつなくこなすイメージがあるから、ゲーム下手くそな城崎を想像したら、少しおもしろい。
でも、やりたくないものを無理にやらせるのは可哀想だし…。
「城崎、嫌ならやらなくても…」
「やります。早く始めましょう。」
城崎は急に顔つきが変わって、コントローラーを握ってソファに座った。
何だ、その切り替えの速さ。
ちゅんちゅんに煽られてやる気になったのか、負ける城崎も見てみたい気もするから、俺も城崎の隣に座った。
ともだちにシェアしよう!