96 / 128
SS6-3
そのあと城崎が復活。
体勢はそのままで…。
「城崎…、集中できないんだけど…?」
「なんで?」
「なんでって……」
こんな密着した状態でゲームに集中なんてできるかバカ…!
顔を赤くしていると、城崎は俺の耳元で囁く。
「先輩のエッチ…♡」
「っ?!!?!?!」
「物理的に攻撃してくれたら、俺集中できなくて負けちゃうかも?」
「誰がするか、バカ!!」
スリ…と足を擦り寄せてきたので、俺は照れ隠しで城崎を叩いて、ツンッとそっぽを向く。
こいつのペースに乗せられちゃダメだ。
勝つ。絶対勝つ…。
アイテムボックスでキノコをゲット。
あ、これたしか一瞬速くなるやつだ。
……と思ったら、オバケが俺のキノコを掻っ攫っていった。
「あー!!俺のキノコ取んなバカ!!」
「先輩のキノコ取った奴出てこい。殺す。」
「やった♪1位だ〜。」
「え、涼真が?城崎は?」
「なんか急にブレーキかけて後ろ行ったぞ。」
「うわっ、待って?!やめて!城崎さん、ごめんなさい!!あーーーー!!!」
俺のキノコを奪ったらしいちゅんちゅんは、城崎に狙い撃ちにされて思いっきり順位を下げられていた。
俺は10位でゴール。
城崎は11位、ちゅんちゅんは12位で終了。
「初めて最下位逃れた…!」
「よかったですね、先輩♡」
「もう二度と望月さんのこと狙わない…。」
ちゅんちゅんは「ここまで粘着されたの初めて…」と青褪めていた。
城崎は1位を取ることに、大してこだわっていないらしい。
俺は最下位を逃れて調子付き、気分良く次のレースを迎える。
城崎が適度に周りをボコしてくれるおかげで、俺は4位で2周目に突入した。
「ちょ、城崎さん!?これチーム戦じゃないんすよ!!」
「うるせー。」
「うわああああ!!酷い!!また順位落ちた!!」
「綾人、ケツにバナナつけんな!」
さっき城崎が言ってた気がするので、アイテムを後ろにつけて走っていると、俺の後ろを走っているらしい涼真に叫ばれる。
おぉ、本当に効果あるんだ。
「は?先輩、誰のバナナ付けてるんですか?」
「へっ?!」
誰のバナナって何?!
俺が拾ったバナナだけど!?
城崎の意味わからない発言に集中力が散漫し、コースに置かれていたバナナに引っかかった。
「ちょ、誰だよバナナ置いたの!滑った!!」
「なんで滑るんですか!それ俺のです!挿れてください!!」
「はぁっ!?……あっ!ばか!お前が意味わからないこと言うからアイテム取れなかったじゃんか!!」
入れてって何?!入れれんの?!どういうこと?!
しかもアイテム取り逃がしたし!!
せっかく4位だったのに、城崎のせいで集中できなくて、どんどん順位が下がり、また最下位に転落した。
ともだちにシェアしよう!