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SS7-2
「順番はキスで決めましょ?先にギブアップした方の負けね?」
「えっ?ぁっ…、ん……♡」
しりとりが始まるのかと思ったら、いきなりキスバトルが始まった。
てか、そもそもキスバトルってなんだよ。
やば…っ、こいつ本当上手すぎ…。
「んっ…んん…♡…ふっ……」
毎日されて息の仕方は覚えたはずなのに、今日のキスはなんか違う。
絶対俺をギブアップさせるために、攻め方変えてるだろ…!
「ふっ……、う……!!」
もう無理!
息継ぎが難しくて、どんどんと城崎の背中を叩く。
「先輩の負け♡」
「はぁ…、はぁ……」
ゆっくりと唇が離れ、銀糸が伝う。
城崎はしっとりと濡れた唇を、舌でぺろっと舐めた。
何でこんな余裕なんだよ…。
「じゃあ俺から始めますね。もう目ぇ逸らしちゃダメですよ?」
「え、あ、待っ…」
この状態で始めたら、完全に俺が不利じゃねぇ?
今めちゃくちゃドキドキしてんのに…。
そう思ったけど、城崎の心臓も同じくらいバクバクしてるから、もしかしたらフェアなのかもしれない。
「"優しい"ところが好き。先輩の誰に対しても、何に対しても、優しくて親切なところが俺は大好きです。そんな優しい先輩に俺は惚れました。」
「……っ///」
逸らしちゃダメ。
すげー恥ずかしいけど、目逸らしたら負けだから。
城崎の瞳は初めて俺に告白した時みたいに、真っ直ぐに俺を射抜いていた。
「お、俺は何から始めたらいいの…?い?」
「はい。"優しい"の"い"ですね。」
「い……、い……。」
ムズイ!!!
"い"から始まる褒め言葉って何だよ?!
しかも考える間もずっと、城崎とこんな至近距離で見つめあってるの、目に毒すぎる…!!
「い……"いい身体"……?とか……?」
「"だ"か〜。なかなか難しいところ攻めてきましたね〜。」
よし!
降参しろ…!頼む…!
そもそも俺にそんな褒めるようなところ見つからないし、"だ"なんて絶対ない!!
「じゃあ、"ダンスが下手"なところが好き。」
「はぁ?!褒めてねぇじゃん!!」
「別に褒め言葉とは言ってませんよ。お互いの"好きなところ"って言ったんです。俺は先輩のダンスが下手なところ、めちゃくちゃ大好きなんですけど。」
「馬鹿にしてんのか?!」
たしかに俺はダンスが破滅的に下手くそだけども!!
運動神経悪くはないはずなのに、昔からダンスだけはからきし駄目だ。
踊れば最後、周りには笑われる。
そんなところが好きなんて、物好きにも程があるだろ。
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