城崎は本当に1時間俺を放置した。 バイブは無機質な音を立てながら俺を犯し続け、ついには電池が切れて動かなくなったまま挿さっていた。 「先輩、お風呂にしませんか？」 「……し…ろさ…き……」 いつもの優しい城崎の声が聞こえて、疲労困憊で閉じかけの瞼をなんとか開ける。 いつのまにか部屋に戻ってきていた城崎は、ゆっくり俺に近づき、ベッドの縁に腰掛けた。 「ごめん。城崎…、ごめんなさい…。」 「ううん。俺もごめんね。頭冷やしたら、少し冷静になれました。」 「うっ…、ヒグッ…」 「寂しかったね。辛かったですよね。ごめんね。身体綺麗にしますから、一緒に入ろう？」 「うん…っ」 城崎は俺の四肢を抑制していた枷を外し、代わりに首輪をつけた。 そんなことしなくても、俺は逃げないのに…。 抱っこして浴室に連れてこられたが、俺だけ脱がされて城崎は服を着たままだった。 「脱がねぇの…？」 「脱いでほしいの？」 「…っ///……いや、そういうわけじゃ…。」 「じゃあこのままでいいよね。」 城崎は結局服を脱がないまま、俺だけを頭のてっぺんから足の指先まで丁寧に洗っていく。 優しいように見えるけど、いつもと違う。 きっとまだ怒ってるんだ。 どうしたら許してくれる？ 「城崎……」 好き。そう言いたいのに、その言葉を出そうとすると、喉に引っかかったみたいに声が出なくなる。 どうして？ 「先輩、お腹ぺったんこだよ。何か食べないと。」 「………あんまり食欲わかない。悪い。」 「そっか…。」 せっかく話せても、あまり会話にならないまま終了する。 俺はこのままどうなるんだろう？ 城崎に縛られて暮らすことになるのかな…。 恋人…というより、今の状態はペットに近い気がする。 城崎のそばにいられるのは嬉しいけど、こんな人間として扱われているのか分からなくなってしまう生活は嫌だな…。 また優しい城崎に戻ってくれたらいいのに…。 一緒に仕事したい。 一緒にデートに行きたい。 休みの日はたっぷり愛し合って、一緒に料理して、食卓囲んで……。 「先輩？どこか痛かった？」 「……あれ？ごめん…。なんで俺泣いて…、っ」 城崎との幸せな日々を思い出したら、自然と涙が出てきた。 やっぱりこんなの嫌だ。 「城崎…っ」 「何？どうしました？」 「……っ、…！！」 やっぱり出てこない。 好きって伝えたいのに、なんで？どうして？ 自分の喉に触れると、冷たくて重い首輪が付いていることを思い出した。 これのせいではないと思うけど…。 「まさか首輪外そうとしてるの？」 「違っ…、ぃっ！！」 グイッと鎖を引かれ、首が一瞬絞まる。 苦しい。痛い。 「悪い子にはお仕置きしないと。」 「ゃっ…！やだ！城崎！嫌だ！！」 「俺から逃げようとした罰ですよ。」 城崎に鎖を引かれながら、俺は首が締まらないように必死に後をついて行った。