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「で、その後俺と夏月は付き合ったわけ。」
「その整体師は本当に俺だったんですよね?」
「どこからどう見ても夏月だった!声も顔も全く一緒!」
夢から覚めた俺は、夏月に夢のことを話す。
夏月は相槌を打ちながら、おそらく…、いやきっと真剣に俺の話を聞いてくれている。
「俺のこといつから好きだったのか聞いたら、仕事帰りに見かけて一目惚れしたんだって。」
「へぇ。」
「で、俺の跡付けて、家にチラシ入れたんだって。胡散臭いと思ったんだよ、初回90分無料なんて。」
「ふーん。」
「しかも聞いてよ。施術前に飲まされたハーブティー、媚薬だったらしい。どうりでなんかムラムラするなって思ったんだよ。」
「へぇー。」
「だからそのえっろい施術も俺限定だったらしい。まぁ他の奴にやってたら許さないけどさ。」
「綾人さん、この話いつまで続く?」
「え?」
夏月は俺のことを押し倒し、貼り付けたような笑顔で俺を見下ろす。
「何で怒ってんの?」
「夢の中の俺にエッチなことされたんでしょ?」
「…っ、だったらなんだよ?」
「目の前に俺がいるのに、夢の俺の話ばっかり。シてほしいならはっきりそう言えばいいのに。素直じゃないんだから、綾人さんは。」
「ち、違うし!元はと言えば、おまえがエロい按摩しろとか言うからだろ!?」
「俺のせいにするんだ〜?」
「ひゃっ!?」
「素直にならないと焦らしますからね♡」
嫉妬なのかなんなのか分かんないけど、少し意地悪なセックスが始まった。
でも俺が素直に夏月を求めると、夢の中…、いや、それ以上に俺を何度も快楽の絶頂に連れていってくれた。
足痛めてるくせに、俺のことばかり考えてくれてるのが分かる。
くたくたになって夏月の腕の中でまた寝そうになっていると、夏月は楽しそうに俺の頬を抓ったり、耳朶を揉んだりしてくる。
「眠い…。」
「綾人さん、よく俺の夢みますよね。」
「……おまえが俺のこと好きすぎて、夢の中までついてくるんだろ。」
「ふっ…、はは(笑)そうですけど、綾人さんも俺のこと夢に見てくれるくらい大好きでしょ?」
うっ…。
そんなキラキラ期待した目で見られたら……。
「そうだよ!悪いかよ!」
「へへ♡愛してます、綾人さんっ♡」
「俺も好きだよ。愛してる。」
ハグして、キスして、愛を伝え合って…。
今日も緩くて幸せな一日が始まる予感。
fin.
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