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SS9-1
京都への社員旅行。
何も知らない蛙にバレないよう秘密を隠し、恐ろしい蛇から愛しい恋人を守る城崎の、長い長い一夜の物語。
p1032 綾人が眠った後の城崎視点。
***
おやすみのキスをして間もなく、綾人さんは気持ちよさそうに寝息を立て始めた。
はぁ…。めちゃくちゃ可愛い。
神様、俺の恋人はなんでこんなに可愛いんでしょうか。
「綾人さん…、好き……。」
触れるだけのキスじゃ足りなくて、綾人さんの首筋に顔を埋めて、大きく深呼吸をする。
石鹸とシャンプーと、あと少しだけ綾人さんの匂い。
ホテルでも貸切風呂でも卓球場でも、たくさん触れ合ってキスしたのにまだ足りない。
俺は万年綾人さん不足なのかもしれない。
「あ〜……、好き。愛してる…。」
耳朶を喰むと、綾人さんがビクッと震える。
起きては……なさそうだな。
敏感な体も俺好み。
蛙石に疑われないように、朝には自分の布団に戻らないと…。
でも今はいいでしょ。
綾人さんの布団の中に潜り込んで、綾人さんを抱き寄せて、硬くなり始めた下腹部を綾人さんの太腿にピッタリと押し付ける。
このまま擦り付けたら気持ちいいだろうな…。
起きたらどうしよう?
それはそれで恥ずかしがる綾人さんが見れていいのかもしれない。
よし……。
腰を動かそうとした瞬間、隣でゴソゴソ音がした。
隣って…、蛙石…?!
「あれ……?望月主任と城崎さん……、同じ布団……?」
やっべぇ……。
マズイ。なんでこのタイミングで起きるんだよ。
バレる…。バレてしまう…。
綾人さんになんて言い訳すれば……。
「ふっ…。城崎さん寝相わる…。」
それだけ言って蛙石はトイレへ入っていった。
せ、セーフ……?
俺が寝相悪い認定されたのは気に食わないが、バレてはなさそうでホッと胸を撫で下ろす。
蛙石も寝ぼけているようだし、トイレが終わってすぐ寝てくれたら続きができる。
「んぅ…。」
「っっ!!」
可愛い!!!
少し眉を下げて唸る綾人さん。
俺に抱きしめられて寝心地悪い?
どうでもいいや。可愛いから。
あー……、これ以上煽られたら、蛙石が戻ってきて寝る前に俺の理性が崩壊してしまうかもしれない…。
「ん…、なつ……」
「え?綾人さん??」
起きたかと思って息を潜めると、すぅ…すぅ…規則正しい寝息が聞こえてくる。
ですよね。寝てますよね。
あぁ…、可愛すぎるって……。
悶えているとトイレのドアが開いて、俺はピタッと動きを止める。
蛙石は真っ直ぐ布団に向かい、綺麗な姿勢でまた眠りについた。
寝たか…?
寝たよな……?
もう一度綾人さんの首筋に顔を埋め、太腿にアレを押し付ける。
「ふっ…ぅ…」
このままでもいいけど、直で触れたらどれほど気持ちいいだろう。
俺はその感覚を知っている。
綾人さんの浴衣の合わせを捲ろうとすると、また物音が聞こえて俺は動きを止めた。
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