129 / 128
SS9-2
「主任…、お帰りになってたんですね。」
「!!!」
身を潜めていたが、声の主が誰だか分かり、布団から顔を出した。
睨みつけると、苦笑される。
「なんだ。城崎くん、起きてたんですか。せっかく主任を夜這いしようと思ったのに。」
「やっぱり油断できねぇ!変態蛇野郎!!」
「そちらこそ眠っている主任にナニしてるんです?まさか私や蛙石くんもいるのに、如何わしいことしようとしてないですよね?」
「俺は恋人だからいいんだよ!!」
「なんて暴論…。バレて困るのはあなただけじゃないんですよ?」
正論を返されてイライラする。
そんなこと分かってんだよ。
ぎゅぅっと綾人さんを抱きしめると、綾人さんは眉を顰める。
「痛ぃ…」
「あっ!ごめん、綾人さん…。」
「んん……」
寝ぼけているだけで起きてはいないようだ。
今日は本当眠りが深い。
ホテルの件もあるし、疲れさせてしまったみたいだ。
「城崎くん、二人とも寝てるんですから静かにね。」
「うるせぇ、バーカ。」
「主任はこんな口の悪い男のどこを好きになったんですかね…。ナニの大きさなら私も負けてないと思うんですけど。」
「キモいから一生死ね。」
「本当に口悪いですね。」
綾人さんを頭から足の先まで布団で隠し、蛇目から守る。
蛇目はため息をついて、そのままトイレに入っていった。
マジで油断ならねぇ。
少しでも俺がうとうとしたら綾人さんが…。
15分ほどして蛇目がトイレから出てくる。
「まだ起きてたんですか。」
「なげーウンコだな。」
「あなたが寝るまで時間潰してただけです。」
「キモ。」
「寝ないんですか?」
「朝まで寝ない。」
「明日の体力無くなりますよ?」
「おまえに綾人さん触れさせるよりマシ。」
俺がここで眠気に負けてしまえば、綾人さんに魔の手が迫ってしまう。
そんなの絶対ダメだ。
「本当に寝ないんですか?」
「寝ない。」
「私は寝ますよ。」
「ご勝手にどうぞ。」
こんな奴の言葉、誰が信じるかよ。
蛇目が自分の布団に戻ったのを確認し、俺は綾人さんが息しやすいように布団から顔を出してあげる。
寝顔可愛いな…。
思わずチュッとキスすると、綾人さんは無意識に俺に擦り寄ってくる。
「蛙石くんが見てたらどうするつもりです?」
「チッ。まだ起きてたのかよ。」
「寝ようと思ったら、面白いゲーム思いつきまして。聞いてくれますか?」
「嫌だ。」
「お眠りになってる主任に、同時に私たちのペニスを触れさせて、どっちに寄ってくるか試してみません?」
「は?マジでふざけんな。」
頭わいてんのか?
俺以外のを触らせるなんてありえない。
下ネタ全開の提案に蔑んだ目で睨む。
「私の方に寄ってきたら面白くないですか?」
「綾人さんが汚れるから半径1m以内に近づかないでもらえます?」
「私も主任の寝顔じっくり見たいです。場所変わってくれませんか?」
「耳ついてる?つーか俺やっぱりこの部屋無理。本当に気分悪いわ。」
布団から出て綾人さんを抱き上げようとすると、綾人さんは唸りながら俺の手首を掴んだ。
ともだちにシェアしよう!