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第4話

 中性的な風貌が、一部の女子たちから「姫」と呼ばれ人気であることを知ったときは、本気で日サロとジムに通おうと思ったくらいだ。とはいえ、どうせ肌は赤く腫れるだけだし、運動神経というものが著しく欠如している自分を知っているからやらなかったけれど。  壁の時計が20時過ぎを指している。夕食がまだだったと思い出してノロノロと体を起こした。  看護師の母親は今夜夜勤だと言っていた。父親は単身赴任中だ。ひとりきりの夕飯はコンビニ調達しようと決めて、財布をポケットにねじ込んだ。

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