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第38話
「今日はこのあと予定あるの?」
唐突に聞かれた。僕は「ありません」と答える。そしたら相良さんは
「じゃあ今から、俺の家来る?」
と言った。え、在宅勤務なの?
「あ、えっと……」
戸惑っていると相良さんは「雛瀬くんに来てくれると、俺は嬉しいけど」そう言ってくれる。
「わかりました……お邪魔させていただきます」
「じゃあ、14時に家まで迎えに行くから。それまでに準備しておいて」
「1人で行けまーー」
「だめ。俺が迎えに行く」
ぞく、と背筋が震える。目を見てないのに、目の前にいるわけでもないのに。声だけで、従ってしまう。これが、Domの力……。そして、Subの従属さ。
「ごめん。待った?」
降りしきる雨の中、僕はマンションのエントランスで待っていたが、相良さんの車を見つけて走って車に飛び乗った。傘もささずに、濡れるのも構わないで。助手席に乗り込むと、相良さんが「風邪をひくから、拭いて」と言って、タオルを渡してくれる。初めて出会ったあのときみたいに。出会ったのも雨の日だった。そう思いながら、車に揺られて20分。相良さんの家は、所謂高層マンションというやつで。部屋が広かったのは覚えてるけど、外観がこんなに綺麗だったなんて。高級ホテルみたいだ。
地下駐車場から、エレベーターに乗って相良さんの部屋に向かう。長い廊下、花柄の絨毯。壁には絵なんかかかっていて。すごくロマンチックだ。
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