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第50話

「お口あけてごらん」 「……」  相良さんの指示に、僕は震えながら従う。 「だめ。もっと奥までよく見せて」  だめだ……怖い。僕は顎が限界になるまで口を開く。その中に、相良さんの人差し指と中指が入っていった。 「んぐっ!?」  口内を暴れる2本の指に翻弄される。 「そのまま。動いたらだめだよ」  僕は相良さんの言いなりになってしまう。2本の指が僕の下の歯の歯列をなぞって。1番奥、親知らずのとんがりにも触れて。唾液が、口元から溢れてしまう。相良さんの指は熱くて、口の中を縦横無尽に這いずり回る。飲み込めなかった唾液が、カーペットに落ちた。ぽと、ぽと、ぽと。 「ん……ぁっ」  相良さんの指が唐突に中で上顎を撫でた。なんか、そこ変……。嘘、気持ちいい……。頭がとろけそうだ。視界が滲んでしまう。気持ちよすぎて? ううん。怖いのと気持ちいいのが同時にやってきたから、混乱してるんだ。ふわふわと夢でも見てるみたいな感覚に、体の力が抜けるのがわかった。もっと、もっと触ってーー。そう思った瞬間、相良さんの指が僕の口内から逃げていってしまう。  眼前に突き出された、ぬらぬらとした人差し指と中指。綺麗で、ごつごつしてて長い指。 「今度は自分から舐めて」 「……はい」  素直に従ってしまう。ちろちろと指先を舐める。そして、何度かそれを繰り返しているとぐっと指を口内に突っ込まれた。喉の奥まで指先が届きそうで、反射的にえづいてしまう。しかし、それすら許してくれそうにない相良さんは僕の後頭部を掴むと、さらに深く指を飲み込ませた。 「泣いちゃうくらい美味しいんだ」

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