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第64話

「今日は雛瀬くんからキスしてよ」  「ね?」甘えた瞳でそう言うと、相良さんは目を閉じてしまった。僕が動くのを待ってるみたいだ。僕はおずおずと相良さんの肩に手をかける。僕もキスしたいと思った。こんな感じかな……唇を突き出して、相良さんの顔に近づく。僕、変な顔してないかな。そんなことを考えてると、もう数センチ先に相良さんの口があって。僕はちゅ、とその薄くて形のいい唇に自身のそれをくっつけた。緊張する……きっと今顔真っ赤だ。相良さんはゆっくりと瞳を開けて、熱の篭った目で僕を見る。 「よくできたね」  そう言って背中を撫でてくれる。しばらくそうしていると、今度はポケットから何かを取り出した。お菓子の袋?  袋を開けると、中に入っていた丸い水色の玉を取り出して口に含んだ。おやつ食べてるのかな? それを眺めていたら相良さんは 「上手なキスの仕方教えてあげるね。頑張って覚えて」  むにゅ、と頬を掴まれてキス。いきなり、口の中に舌を入れられる。相良さんの口に入っていた飴玉が僕の口に入ってきた。 「んん……」  相良さんは器用に僕の口の中で飴玉を転がす。相良さんの舌は熱くて、飴玉が溶けて甘い味がする。しゅわしゅわとした感触もある。僕が一番好きな味。ーーソーダ味の飴玉だ。 「っ」  僕が息が出来なくて酸欠状態になると、相良さんが一旦口を話してくれた。飴玉を含みながら、 「鼻で息を吸うんだよ」  そう言うと休憩もなしにまたキスをされる。あ、飴玉小さくなった。2人の熱で溶けてるんだ。おいし……。僕はふーっ、ふーっと鼻で息をする。  ちゅくちゅくちゅくと2人の間で溢れる音。舌先から感じる甘い味。僕の顎から伝う飲みきれなかった唾液が、ぽたぽたと服に落ちる。僕はすっかり相良さんのキスに夢中になっていた。相良さんの舌が誘うように僕のを絡めとる。僕も相良さんに気持ちよくなって欲しくて、勇気を出して自分から舌を絡めた。 「……」  相良さんの舌がぴくりと動くのをやめた。直後に脱力して、僕が舌先を伸ばして舐めてみる。ざらざらしてて気持ちいい。

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