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第105話

「李子くん」 「……はい」  相良さんの甘い声。僕はその大きな胸に擦り寄る。僕の背中に手を回して来た相良さんは、僕の顔をしばらく眺める。相良さんの目力強いからな……僕は恥ずかしくなって目線を逸らした。 「こっち向いて」  ぎくしゃくしながら相良さんと目を合わせる。黒く、透き通った瞳。 「っわ」  そのまま畳の上に押し倒される。相良さんの手が、僕の胸の上を這う。ある1点にたどり着くと、服の上からやわやわと揉み始めた。僕はくすぐったさに声を上げる。 「相良さっ……くすぐったい」  こちょこちょと胸をくすぐってくる相良さん。僕、遊ばれてるんだ。相良さんはにこ、と一瞬微笑んでから僕の着ていたパーカーを脱がした。僕は上半身裸で相良さんの下にいる。相良さんは僕の足の間に座り込むと、僕の胸に口をつけた。 「……んん」  ちろちろと舌先で乳頭を舐められる。左の乳首は相良さんの唇が。右の乳首は相良さんの右手が占領している。熱い舌になめられて、変な感じがする。腰のあたりがむずむずしてきて……足を閉じてしまう。それを遮るように相良さんが僕の足を開いた。 「相良さん……も、いいですから……」  唾液で濡れそぼったそこがシーリングライトに照らされて艶めかしく光る。僕は眩しい光の中でこうして触れられることに、わずかに興奮していた。現に、僕の足の間にあるものは硬くなり始めている。きっと気づかれてる。でも、まだ触ってくれない。僕はついに我慢できなくなって相良さんの頭を抱え込んだ。 「シて、ください……」  精一杯の懇願。 「……」  相良さんは何も言わず僕のズボンを下ろす。下着ごと躊躇なく。すぅっとエアコンの冷気が体にあたって、火照った体を冷やしていく。相良さんが僕のほうを見上げた。ぞ、とした。大好きなのに、相良さんの顔があまりにも綺麗だから。美しいものには刺があるのだと、どこかの詩で読んだ。ぼくはとっさにそれを思い出していた。

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