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第109話
「っあ……あ」
相良さんの動きが早まる。僕のものはまた弾けそうになる。
「っ李子くん」
相良さんの体が、のし、と僕の背中に重なった。あ……出てる……。相良さんのものから溢れる体液を僕は足の間で受け止めていた。僕のものも同時に達したらしく、気づかないうちに精を放っていた。相良さんのものに気を取られていて、達したことに気づかないなんて。こんなこと初めてだ。あとで畳の掃除をしなきゃ……。
「これも初めてだった?」
相良さんが僕の体から離れていく。畳の上に横になると、僕の手のひらを掴んだ。
「初めて……です」
「今の素股っていうんだ。気持ちよかった?」
相良さんの髪、汗ばんでいて……色気がすごい。
「はい……すごく……興奮しました」
僕の唇は素直に思ったことを放つ。相良さんは一瞬目を見開いていたけど、「よかった」と息を吐くと僕の手を引いて抱きしめてくれた。その体制のまま、何度も髪を撫でてくれる。
「ほんとにかわいい。薄いピンク色がよく似合ってるよ」
相良さんの指が耳の後ろのあたりをすく。僕はあまりの気持ちよさに、目を薄らと閉じていた。
「李子くんのためにある色みたいだ」
そんなに褒められても何もでません。心の中でそう思いながら相良さんの顔を見つめる。目の横にできるしわが、普段の倍以上好きになった。
「もっと李子くんのこと甘やかしたいけど、これから仕事なんだ」
相良さんがズボンを履きながら恨めしそうに呟く。僕も身なりを整えて相良さんを玄関まで送った。
「お仕事、頑張ってください。……それと今日は何から何までありがとうございました。髪色が変わって、すごく気持ちが晴れました」
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