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第139話
「ん……く……ぁ」
僕が途切れ途切れに声を漏らす。だめだ、もう出る。僕は相良さんの手の中で吐精した。相良さんのウィンドブレーカーに白露がふりかかる。汚しちゃった……あとで謝らないと。果てたせいで脱力していると、相良さんがまだ手を離してくれないことに気づいた。
「い…ま…む、り……今、出したばっか……」
「まだ俺がイってない。雛瀬。相良先生って呼んで」
なんか、ちょっと俺様キャラかも。こういう相良さんが見れるのは嬉しいかも。なんて思う余裕は今の僕にはなくて。僕は息を上げながら声を上げる。
「……っ相良先生っ、相良、……先生っ」
相良さんが息を乱れさせながら瞳を閉じる。こめかみに伝う汗。綺麗に伏せられた黒い睫毛。僕はそんな相良さんがたまらなくかっこよく見えて……だから、相良さんの身体に腕を回して言った。いつも相良さんが僕にしてくれるみたいに。耳元で囁いて。
「相良先、生……大好き」
「……っ」
相良さんが目を見開いて、それから苦しそうに眉を寄せた。直後、僕のお腹の上に熱いものがふりかかる。僕はそれを胸の底から喜んで受け止めた。
「今の、反則だよ……」
相良さんがいつもの口調に戻って言う。僕は相良さんの顔が見たくて、じっと鼻先を見つめた。
「相良先生がかっこよすぎるからいけないんですよ」
僕からのお返し。相良さんはぱっと自分の顔を腕で覆った。恥ずかしがってるのかな。なんか、こういう相良さん見るの初めてかも。かわいい……。年上の人にかわいいなんて変かもしれないけど。すごく乙女ちっくっていうか……。
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