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第152話
お馬さんごっこは、なぜか相良さんが1番嬉しそうだった。僕をその逞しい背中に乗せて、部屋から部屋を散歩する。僕は重くないかなとか、恐縮してしまって。僕はどきどきした。
スクワットは、今度は僕が楽しむ番だった。相良さんは、僕を落っことさないように腕に力を込めてくれるんだけど、時折ふわって空中に持ち上げられて遊園地のアトラクションみたいで楽しかった。最後には「良い筋トレになったよ」とその太腿を触らせてくれた。すごく硬かった。僕はまた、どきどきした。
寝る前のベッドの上で、僕は相良さんにお願いをした。
「いっぱいやさしくしてください」
勇気をだして、言った。そうしたら、相良さんいっぱい褒めてくれて。僕はもう、相良さんのことが大好きなのだと自覚する。
「いいよ。どんなふうにされたい?」
相良さんの目。きれいだな。
「いっぱいキスしても怒らないですか」
「……怒らないよ」
そう呟いたあと、相良さんは口元に手をあてて僕から目線をそらした。
僕は相良さんの身体に乗り上がる。さっきとは逆の体勢だ。相良さんは、脱力して僕を見ている。
まずは、髪の毛にキス。いつも、相良さんが僕にしてくれるみたいに。相良さんは僕のピンク色の髪の毛を褒めてくれるけど、僕だって相良さんの黒くて艶のある髪が好き。僕は相良さんの後頭部を支えながら髪の毛にキスを落とした。
「……おじさんの髪の毛にキスなんてしちゃいけません」
なんでも好きにさせてくれると言った手前、大きな声で抗議できないんだろう。かわいいな。照れてるのかな。相良さんはちょっと戸惑ったように目を動かすから。
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