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第153話
「目、閉じてください」
相良さんは大人しく僕の指示に従う。なんだか、僕がDomになったみたい。
僕は今度は相良さんの伏せられた瞼の上に口付けを落とした。この瞳には僕だけがうつりますように。そう、願って。
次は、ほっぺた。右と左両方に1回ずつ。そしたら、唇に。ふにゅ、と唇が合わさる。ちゅうちゅうと吸い付いていると、頭上から相良さんの鼻息があたった。
僕はちら、と顔を上げる。
「李子くん。キス、上手になったね」
「ほんとですか」
初めて相良さんとキスをしたときから。頑張って覚えたつもり。それが、伝わったことが嬉しくて。僕は舞い上がりそうになった。
「相良さん口、開けてくださいね」
僕は調子に乗って相良さんの軽く開かれた口に侵入する。ぺろ、と中で相良さんの舌先を舐める。肉厚で溶けてしまいそうなほど熱い舌を追いかける。相良さんは僕にすべてを任せてくれた。
深いキスをし終わった頃には、僕はぜえぜえと肩で息をしていた。自分からキスしたのに、このざまだ。
「そうだなあ。75点。また今度、教えてあげるよ」
くす、と笑って。相良さんは満足そうだ。
「……お願い、します」
そこそこの点数。次は相良さんをぎゃふんと言わせてやるんだから。僕の闘争心に火がついた。
「おわりでいいの?」
相良さんがやさしく問いかけてくる。僕は、こくりと小さく頷く。なんだか今日は疲れてしまった。相良さんに噛みつかれて、その後急にやさしくされて。いっぱいキスして。心も身体もくたくただ。
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