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第157話
「なんですかー。寝不足ですかー」
じとー。うう。金森さんの目ちょっと冷めてて怖い。
「夜、恋人と盛り上がるのもいいですけど、仕事ではしゃんとしてください」
「っえ」
ちいさな声で金森さんが僕の耳元で爆弾発言を落とした。なんで、知ってるの? その言葉が僕の表情に出ていたのか金森さんは両手を後ろに回して、くるんとこちらを振り向いた。
「だってこの半年くらい、雛瀬先輩毎日とっても楽しそうですもん」
そうだったんだ。そんなところも見ていてくれたんだ。金森さんは、自分のデスクに戻っていく。
そっか。僕、この半年間楽しかったんだ。相良さんと出会って、知らないことをたくさん教わって、いっぱいあたたかい気持ちになれて。初めて人を好きになった。
金森さんにバレてしまうくらいに僕は舞い上がっていたんだ。
僕は気を引き締めて電話を取る。柔らかい声で、電話の向こうの君を怯えさせないように。
君を助けられるようになりたいから。
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