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第167話
すり、と僕の後頭部を撫でていた手が僕の着ているニットの下に潜り込む。胸の辺りまで服を持ち上げられる。部屋の冷気が僕の身体を撫でた。
パール粒くらいの僕の突起に相良さんが爪を立てる。かりかりと爪先でいじられることの気持ちよさを、僕はもう知っているから。キスに溺れながら、意識は胸にいく。不意に、ぴんと爪で弾かれてしまう。ぴくり、と腰に響いた。僕は恥ずかしさのあまり、下肢を手で隠そうとする。けれど、相良さんが許してくれることはなくて。
「駄目でしょう。勝手に動いたりしたら」
「ごめんなさ……」
相良さんが眉間にしわを寄せる。そのしわは僕は苦手だ。すごく、困って、呆れ果てて、つまらなそうな表情だから。
「|stay《動かないで》」
「ッ」
放たれた言葉が僕の全身を硬直させるのに、さほど時間はかからなかった。僕は瞬きさえできない。なんとか呼吸はできているけど、指の先さえ動かせなくなる。相良さんのCommandが効いているから。
「っ」
相良さんが僕の履いている黒のスキニーパンツの上から、そこをなぞる。既に胸の刺激で熱が集まったそこを柔く揉みこまれて、顔が熱くなる。
ずる、と布が落ちる音が身体の下の方から聞こえた。眼下には僕のものが下着越しにそそり立っているのが見えた。
「すごいね」
ほら、と彼が僕のものの先端をくるくると指の腹でまわしながら言う。
「こんなになってる」
透明な糸が、僕のものの布越しの先端と相良さんの指を繋ぐ。僕は目を見開いてそれを見る。その指を相良さんが僕の口の中に突っ込んだ。喉奥まで容赦なく突きつけられて、反射的にえずく。
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