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第171話
「……」
相良さん。急に黙ってしまった。何かを深く考え込んでいるような顔つき。そんな中でも、手だけは僕の髪を撫でてくれている。
僕はなにかしなくっちゃと思って、撫でてくれる相良さんの手をとった。びく、と相良さんの肩が大袈裟なくらい揺れた。瞳の中の黒が、今日は一段と深い色を帯びている。
「……すき」
「っ」
僕のちいさな呟きはちゃんと聞こえたらしい。相良さんは僕のことを凝視している。
「……ありがとう」
ぽとり、と囁かれた彼の言葉が空中に舞う。
そのまま腰に手を回される。骨ばった手が、僕を離さない。
相良さんの先端が僕の蕾にあたる。ゆっくりと、確実に飲み込んでいく僕の身体。入口のところが、ジンジンと熱を持つ。相良さんを見上げた。辛いだろうに、今すぐにでも抱こうと思えば乱暴に、無理やり抱くこともできるのに。彼はそうしない。ほんとうに、やさしい人だから。
「っう……あ」
最後はぐっ、と奥深くに相良さんの熱を感じた。まだ開かれたことのないそこが疼く。なんとか、おさまったらしい。僕は自分の身体に驚く。相良さんを受け入れるのは無理だと思っていたから。ほとんど痛みを感じずに済んだのは、相良さんが前もって指で慣れさせてくれたおかげだろう。
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