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第174話

「そっか……。俺だけ勝手に気持ちよくなってごめんね」  にこ。相良さん、笑った。僕も微笑み返そうとした。でも、そんな余裕はなくなってしまった。 「ん……んっ」  相良さんが僕の身体を反転させて後ろから覆いかぶさってきたから。これ、バックっていう体位? 「李子くん。たくさん鳴いていいよ」  いつのまにか復活した相良さんの怒張が、僕の中を何度も往復する。これ、やばい。すごい深く入ってる気がする……。あまりの気持ちよさに頭がぼんやりとしてしまう。じんじんとした心地良さが下半身から溢れて止まらない。ベッドの上に手をついてたんだけど、それももう力が入らなくて。僕はお尻を高くあげて上半身をベッドに突っ伏してしまう。 「っあ"……う……ん、……っ」  口から声が止まらなくて、止まらなくて。呻き声を上げていた。  あ。だめ。なんか、きちゃう。  本能的に足を閉じる。下半身ががくがく震えて波を起こす。その波が後孔から脳天に一直線で繋がった。 「っ」  相良さんが後ろで息を止める声が聞こえた。あ、また……中で相良さんのものが震えている。出てるんだ……たくさん、僕の中で。直接。想像しただけで頭が沸騰するみたいに熱くなる。僕はシーツをぎゅうと掴んで、震えていた。足の間から、飛沫が飛び散っている。それはシーツをぐっしょりと濡らしてしまう。ああ、汚しちゃった。あとで相良さんに謝らないと……。 「李子。こっち向いて」  産まれたての子鹿のように震える身体を起こす。何とか、後ろを振り向いた。あまりのきもちよさに、僕は瞳に涙をためていた。それを見られるのはすごくはずかしいけど。相良さんにだったら、いいかなって。そう思ったんだ。  直後、相良さんは目を見開いていた。そうして、しばし僕の顔を見つめると今度は薄い微笑を浮かべた。 「そんな顔、俺以外に見せたらだめだよ」  ちう、と相良さんが僕の鼻先に口付けを落としてくれる。  ぼんやりする頭で考えた。うまく、できたかな。相良さんのこと、気持ちよくさせられたかな。

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