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第175話
「李子くん。きもちよくなるとすぐに目がとろんとろんになっちゃうよね」
前髪を梳いてくれる指先が、熱を持っている。僕、そんな顔してるんだ。恥ずかしい、な。
僕は頭がくらくらしてしまって、うまく返事ができない。
「いいよ。このまま寝ちゃおうか」
相良さんが中から出ていく。あ……。もう少し繋がっていたかった。そんなことを思う自分に苦笑してしまう。
相良さんは体を横たえて僕を引き寄せた。
「ごめんなさい。シーツ、汚しちゃって……」
うとうとする頭でなんとか言葉を繋げる。すると相良さんは目を細めて僕に言った。
「いいよ。気にしないで」
相良さんが僕のことをお姫様抱っこして、行為が行われた場所とは反対側のシーツの上に移動させてくれる。
「今日は疲れちゃったね。今はゆっくり休んで」
「は、い……」
だめだ。今日はいろんなことがありすぎて頭がいっぱいだ。パンクしちゃう。
初めてだった。うまく、できてるといいな。mateとして、また1歩前に進めていたらいいな。
「おやすみ」
口元を耳に近づけて囁かれる。
「俺だけの李子」
耳筋にキス。僕はくすぐったさに身を捩って、眠りに落ちた。
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