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第177話
「っ……あ」
お預けをくらったような、少し恨めしそうな表情。相良さんも、子供みたいにこんな顔するんだ。ぽんやりとそれを見る。そしたら、柔く唇を引き上げた。
「|meow《にゃあ》」
僕の知らない何かの単語を呟く。僕はきょとんと首を傾げた。どういう意味だろう。
「みゃう?」
なんとなく、相良さんの言葉を思い出して繰り返してみた。すると相良さん。目を輝かせて僕の頭をわしゃわしゃと思い切りよくかいてくれた。
「りこ いいこ かわいいこ」
顎の下をなでなで。韻を踏んでるのかな。機嫌が良さそうな相良さんの言葉と指先。僕のこと褒めてくれてるみたい。だから嬉しくなって、僕は相良さんの肩にぴたりと頭を乗せた。
相良さんの髪の毛。なんていうのかな、ちょっと寝癖のせいで前髪がわれちゃってる。それもなんか、かっこいいな……。ずるいな。どんな姿もかっこよくなってしまう。
2人してシャワーを浴びて昨日の印を洗い流す。中を広げられたときには、あまりの恥ずかしさに顔を手で覆ってしまった。
「お腹壊したらいけないから」
そう言って指を入れてくる。僕は前が反応しないようにと気を張ってしまう。相良さんは中に残ったものをかき出してくれた。白いものが太腿から垂れていく感触は、不思議と嫌ではなかった。
幸い、身体は反応しなかったから助かった。
けれど、ここで別の問題が浮上してくる。起きたときから、なんとなく腰のあたりが重だるくて。歩くときも、よろよろになってしまう。これでは、杖を持ったおじいさんにも歩く速さで追い抜かれてしまうだろう。昨日の行為のせいなのだと理解している。だからこそ、相良さんには気づかれたくないんだけど。彼はなんでもお見通しのようで、何も言わず僕の腰を支えて服を着せてくれる。
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